どうしても私に会いたいという大阪のメーカーの人が来た。
誰に何を聞かされたか知らないが、ずいぶん緊張していた(苦笑)。
いやいや、いたって普通のおっさんですから。電話が怖かった?
そんなつもりは無いんだが、申し訳ない。
例えばGINZAやSPURなどモード寄りのブランド。
展示会には梨花さんも来てくれて、、と聞けばブルーコムとは縁遠い気もする。
しか~し。先入観だけで何事も決めちゃあいかんのだ。
縦糸を綿、横糸を麻で特殊な織機で織って、麻を縮めてさらに熱で焦がして
目を詰めた素晴らしい素材のパンツはとても美しい。言葉じゃ分かりにくいよね。
何故ここに取り上げたか、といえばこの頃よく思うことがあるからだ。
パリやミラノのコレクションをとても寒々しく感じるのは昔からなんだが、
それでもアパレル産業に関わる人々は王様の耳はロバの耳、と言えずに
コレクションやショーを持上げ追いかけ続ける。
人が主で服は従であるべき?あるいは服は道具でいいんだろうか?
ライフスタイルとかけ離れたものは取り扱いたくない、とずっと思ってきた。
ラグジュアリーって何だ?デザイナーって何やねん?と。
ブルーコムでモード、と呼ばれる分野の取り扱いが少ないのもそのせいなのだ。
今回見たワンピース(デニムをリメイクしてくっつけてる)とか
レザーのフリンジベストとかはきっと新鮮な印象でお店に並ぶ。
変えてはいけないものもあると同時に、変えていかなきゃいけないものもある。
なんか屁理屈なんだけど、変わらないために変わらなきゃ、みたいな。
私のずい分と頑固に凝り固まった頭を、恐る恐るほぐしてくれた彼は
遠慮がちに歩いて帰っていった。うん、まだ私もチェンジできるようだ。
松本清張が一大決心をして小倉から上京したのが43歳。
ブルーコムはこんな感じ、と安易に決めつけられないように
これからもお客様に新鮮な驚きをもってもらえるように
新しい命を吹き込み続けたい、と思う。
やっぱ服屋なんだからさ、交差比率や自己資本比率やROIとかなんとか
数字ばっかり気にしてちゃあ面白くないよな、と思うある一日であった。